平成という時代は、日本のカレー文化に大きな変化をもたらしました。
特に1990年代以降のタイカレーブームは、それまでの日本のカレーの概念を大きく覆し、多様なカレー文化の幕開けとなったのです。
本ブログでは、平成時代のカレーに焦点を当てました。
タイカレーブームを転換点として、日本のカレー文化がどのように変化していったのかを深掘り解説します。
またレトルトカレーの進化、スパイスカレーの流行など、平成のカレーを語る上で外せないトピックも満載です。
タイカレー人気爆発!:日本でブーム到来
昭和の終わりから平成初期、バブル景気の影響で海外旅行が身近になり、日本にエスニック料理ブームがやってきました。
その中でも特に人気を集めたのが、タイカレーです。

日本のカレーやインドカレーとは全く違う、ココナッツミルクを使った甘くてスパイシーな味わいは、多くの日本人を魅了しました。
ハーブやスパイス、ナンプラーなどが織りなす複雑な風味と、サラッとしたスープ状の口当たりは、まさに新感覚です。
タイカレーには、主に以下の3種類があります。
- グリーンカレー:青唐辛子を使った、刺激的な辛さが特徴
- レッドカレー:赤唐辛子を使った、グリーンカレーよりマイルドな辛さ
- イエローカレー:ターメリックを使った、辛さ控えめで優しい味わい
辛さの順は、グリーンカレー、レッドカレー、イエローカレーです。

1993年(平成5年)の「平成の米騒動」でタイ米が緊急輸入されたことも、タイカレーの認知度を高めるきっかけになったんやで。
宇宙でカレーを食べる!日本人宇宙飛行士
1992年(平成4年)、なんとカレーが宇宙へ飛び立ちました!
日本人初のスペースシャトル搭乗者、毛利衛氏がエンデバー号にカレーを持ち込み、宇宙で初めてカレーを食べたのです。
無重力空間でレトルトカレーにご飯を浸して食べるという、ちょっと変わったスタイルでしたが、同乗したクルーにも大好評だったとか。
実は、レトルトパウチ食品は1969年のアポロ11号の宇宙食から使われていました。
しかし、「カレーライスはカレーとご飯が一緒に盛り付けられていなければならない」と、宇宙でのカレーの食べ方にこだわった方がいます。
元宇宙飛行士の土井隆雄さんです。
1997年(平成9年)、土井さんはコロンビア号に搭乗した際、特製パックでカレーとライスを一緒に盛り付け、スプーンで食べたそうです。
日本人初の船外活動を行った土井さんの、宇宙食への熱い思いが伝わってきますね。
カレーの街よこすか誕生:ルーツは海軍カレー
「横須賀とカレー」というと、ちょっと意外な組み合わせに感じるかもしれません。
でも、この二つには深い繋がりがあるんです。
時は明治時代。
旧日本海軍では、兵士の病死者が多く、原因は栄養不足による脚気(かっけ)でした。
そこで、海軍軍医の高木兼寛氏が、イギリス海軍の食事を参考にします。
カレー風味のシチューにとろみをつけてをご飯にかけるなど「兵食改革」を行ったんです。
これが、日本のカレーライスのルーツと言われています。
横須賀は、旧日本海軍の拠点である鎮守府の一つ。
つまり、横須賀から全国にカレーライスが広まったんですね。

せやな!カレーと横須賀、繋がったなぁ!
そして平成11年、横須賀市は「カレーの街宣言」をし、「カレーの街よこすか推進委員会」が設立されました。
きっかけは、前年の海上自衛隊地方総監の「横須賀をカレーの発信地に」という言葉。
横須賀市役所、横須賀商工会議所、海上自衛隊が協力し、「よこすか海軍カレー」が誕生しました。
「よこすか海軍カレー」には、以下のルールがあります。
- 肉は牛肉か鶏肉を使うこと
- 人参、玉ねぎ、じゃがいもが入っていること
- カレー粉、塩、小麦粉を使うこと
- 漬物、サラダ、牛乳を添えること
平成11年8月には、日本初のカレーフェス「よこすかカレーフェスティバル」が開催され、カレーによる街おこしのモデルとなりました。
日本初!カレーのテーマパーク「横濱カレーミュージアム」
2001年(平成13年)、横浜市伊勢佐木町に「横濱カレーミュージアム」がオープンしました!
全国の有名&個性的なカレー専門店が集結した、まさにカレー好きの夢のような場所です。
カレーの飲食店はもちろん、ミュージアムオリジナルのグッズや全国各地のレトルトカレーも販売されていました。

せやせや!横濱カレーミュージアムはな、年中無休で入館無料やったんやで!
年間を通して多くの人が訪れ、2006年(平成18年)11月末には累計来場者数が約870万人を記録したそうです。
当時出店していたお店は、
- トプカ(東京・印度&欧風カレー)
- レーベン(東京・欧風カレー)
- 湘南カレー紅(湘南・欧風カレー)
- パク森(東京・オリジナルカレー)
- 伽喱本舗(博多・焼きカレー)
- 琉球カレー(沖縄カレー)
- Kingデリー(東京・インドパキスタンカレー)
- 木多郎(札幌・スープカレー)
- 横濱フレンチカレーの店(横浜・フレンチカレー)
- アジアンランチ(東京・アジアカレー)
- 讃岐五右衛門(香川・カレーうどん)
- 船場カリー(大阪・欧風カレー)
など、バラエティ豊かなラインアップでした。
特に「カレー屋パク森」は、開館から閉館までずっとお店を構えていた人気店です。(現在の店名:カレー屋パクパクもりもり)
横濱カレーミュージアムのオープンは、全国のカレー専門店が注目されるきっかけとなり、カレー専門店ブームを巻き起こしました。
残念ながら、2007年(平成19年)3月31日に事業期間満了に伴い閉館しましたが、今も多くのカレーファンに語り継がれています。
「スープカレー」が全国へ:北海道が生んだ新感覚カレー
2002年(平成14年)から2006年(平成18年)頃にかけて、北海道発祥の「スープカレー」が全国的なブームとなりました。

スパイスが効いたサラサラのスープと、ゴロッと大きな肉や野菜が特徴的なスープカレー。
スープカレーの元祖と言われているのが、1975年(昭和50年)創業の「薬膳カリィ本舗アジャンタ」です。
漢方の養生食とインド料理を融合させた「薬膳カリィ」が、スープカレーの原型と言われています。
そして、1993年(平成5年)に開業した「スパイスマジック」が、「スープカレー」という名前で売り出し、スープカレーが広まるきっかけを作りました。
2003年(平成15年)には、横浜カレーミュージアムに出店し、スープカレーブームに大きく貢献しました。
カレーうどん:ブームの火付け役とは?
2003年(平成15年)は、日本中でカレーうどんが大流行した年でした。
前年に起きた讃岐うどんブームの流れに乗り、さらにカレーうどん誕生100周年という記念の年。

また、さまざまなイベントや雑誌の特集が組まれ、カレーうどんに注目が集まりました。
カレーうどんの発祥店として知られるのは、東京の「三朝庵」です。
また、1983年(昭和58年)創業の「古奈屋」が提供するクリーミーなカレーうどんは、マイルドな辛さが女性を中心に大人気に。
カレーうどんブームをリードしました。
この時期には、カレーうどんのチェーン店や専門店も数多く誕生し、各店が独創的なカレーうどんを提供し、ブームを盛り上げました。
フレンチカレーブーム:カレーとフランス料理の融合
2005年(平成17年)に、おしゃれで繊細な味わいの「フレンチカレー」がブームとなりました。
きっかけは、横浜観光プロモーションフォーラム認定事業の一環として行われた、横浜ご当地カレー「ハマカレー」のイベントです。
このイベントのために、「ハマカレー制作委員会」が結成されます。
仏蘭西料理亭 横濱元町の「霧笛楼」今平茂総料理長を中心に、料理研究家などが集まり、横浜フランスカレーを開発しました。
横浜フランスカレーのコンセプトは、
- おしゃれでハイセンスな横浜らしさを感じられるカレー
- フランス料理の技法を利用した気品と繊細さのあるカレー
- フランス料理のソース技法を生かした上品なカレー
というもので、そのおしゃれさと繊細な味が、特に女性に人気を集めました。
現在でも、霧笛楼では「横濱フランスカレー」を味わうことができます。
数量限定ですが、国産牛肉を使用した、ぜいたくな欧風カレーです。
白カレー&黒カレーブーム:味も見た目も斬新!個性派カレー
2006年(平成18年)には、見た目も味も個性的な「白カレー」と「黒カレー」が同時にブームとなりました。
白カレー
白カレーの元祖は、帯広市のカレー店「カレーリーフ」です。
クリームソースをベースに、ターメリックを減らすことで、シチューのような薄黄色の見た目に。
しかし、味はしっかりスパイスが効いたカレーなんです。
その名も「フランス風カレー」。

また、このブームと同時期に、ハウス食品から「北海道ホワイトカレー」という白いカレールーも発売されました。
さらに、ご当地グルメとして、北海道紋別市の「オホーツク紋別ホワイトカレー」が登場。
こちらは、「北海道じゃらん」の編集長が提案した企画でした。
紋別産のホタテや牛乳など、地元の食材をふんだんに使ったこだわりの一品です。
黒カレー
黒カレーブームの背景には、黒豆や黒ゴマなど、黒色の食品を取り入れる健康ブームがありました。
黒カレーの発祥は、三重県津市の「東洋軒」です。

せやな、ブラックカレーは昭和の初めに考案されたんやで。(詳しい年号はちょっと分からへんのやけど)
初代料理長の猪俣重勝さんが、陶芸家の川喜田半泥子さんの「黒いカレーができないか」という要望に応えて考案しました。

川喜田半泥子さんが東京で食べた濃い色のカレーが忘れられへんかったんやて。どないしても食べたかったんやなぁ。
最高級の松坂牛脂と小麦粉、そして秘伝のスパイスをじっくり炒めることで、深みのある黒いルーが完成します。
2006年には、カラメルソースを使ったものや、イカ墨を使ったものなど、さまざまな黒カレーが登場し、白カレー同様に大きな注目を集めました。
【まとめ】平成・前期、多様化する日本のカレー文化へ
今回のブログでは、平成・前期の日本のカレー文化を振り返りました。
タイカレーブームを皮切りに、宇宙食としてのカレー、ご当地カレーの誕生、カレーテーマパークの登場。
そしてスープカレー、カレーうどん、フレンチカレー、白カレー、黒カレーといった多様なカレーの流行を見てきました。
毎年と言っていいほど、さまざまなカレーブームが起こり、日本のカレー文化は多様化してきたことがわかります。
これらのブームは、カレーの可能性を広げ、私たちに新しい味との出会いをもたらしてくれました。
次回のブログでは、2007年(平成19年)以降のカレーの出来事を解説します。
平成・中期から令和にかけて、日本のカレーはどのように進化していくのでしょうか?
- 1990年(平成2年)タイカレーブーム
- 1992年(平成4年)カレーが宇宙食になるへ
- 1999年(平成11年)「カレーの街よこすか」が誕生
- 2001年(平成13年)日本初カレーのアミューズメント施設「横濱カレーミュージアム」がオープン
- 2003年(平成15年)カレーうどんブーム
- 2004年(平成16年)スープカレーブーム
- 2005年(平成17年)フレンチカレーブーム
- 2006年(平成18年)白カレー黒カレーブーム
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