カレーをついつい作りすぎることはありませんか?
ちょっとカレーが残った時、
「明日の朝に食べようかな?」
とそのまま鍋にいれたままにしていらっしゃるかもしれません。
また、カレーをより美味しくするために「一晩寝かせる」ということを聞いたことはありませんか?
ひと昔前は「二日目のカレー」「一晩寝かせたカレー」が美味しいと言われていました。
実はカレーは痛みやすく、特に常温で一晩寝かせたカレーは危険なんです。
カレーは手軽に調理ができる人気料理ですが、保存方法を誤ると食中毒のリスクがあります。
この記事ではカレーの正しい保存法や保存後の美味しく食べる方法なども解説します。
カレーの常温保存の危険性
なぜカレーの常温保存が危険なのでしょうか?
それは食中毒の危険性があるからです。
厚生労働省のホームページに食中毒予防についてこのように書かれています。
<食中毒予防三原則>
・つけない(手洗い・器具の洗浄・消毒)
・増やさない(適切な温度での保管・調理後は速やかに食べる)
・やっつける(加熱殺菌)
厚生労働省HP
そうなるとカレーを常温で一晩寝かせるという行為は、食中毒の予防の三原則「増やさない」に引っかかります。
でもさ。カレーをまた加熱すれば、大丈夫じゃない?細菌をやっつける加熱殺菌があるやないか。
実はね、カレーには加熱殺菌できない細菌が発生するんだよ!
えー!加熱しても菌が死なないのかい!
カレーを加熱しても生き残るウェルシュ菌
カレーの食中毒は、ウェルシュ菌が原因です。
ウェルシュ菌はどこにでも生息していて、空気があるところを嫌う特徴があります。
特にカレーやシチューなどルーで覆われているため、ウェルシュ菌が増える最適な環境です。
またウェルシュ菌は、硬い殻(芽胞)を作ることができます。
芽胞ってとても硬い殻のようなものです。細菌も環境が暑すぎたり、寒すぎると生き残るのが大変。菌が硬い殻を作ることにより自分を守るために休眠状態になるんですって。
ウェルシュ菌の特徴
- 土壌や水中、人の腸内など広く生息する菌
- 熱に強く、高温加熱しても生き残る菌
- 酸素の少ない環境で増殖する菌
- カレーのような汁物や煮物に繁殖しやすい菌
- 食べると下痢やおう吐を引き起こす菌
この芽胞は、一般的な芽胞と違って高温に耐えることができます。
例えば100℃で長時間加熱してもウェルシュ菌は死滅せず、生き残り続けることです。
厄介な菌やな…。
しかし、ウェルシュ菌が活動しやすい温度になると発芽します。
ウェルシュ菌は、12~50℃で増殖するんやて。
またウェルシュ菌の増殖した料理を食べると、多くは6~18時間(平均10時間後)に食中毒が発症します。
ウェルシュ菌による食中毒は、主に腹痛、下痢、おう吐です。
またウェルシュ菌の他にも広範囲に生息&熱に強い菌があります。
- セレウス菌
- ボツリヌス菌
の2種類の菌です。
セレウス菌
【特徴】
- 下痢型…ウェルシュ菌に似ている。弁当やプリンなどに繁殖(肉野菜乳製品等)
- おう吐型…黄色ブドウ球菌に似ている。チャーハンや焼きそばなど繁殖(米飯や麺類)
【対策】
- 小分けにして冷凍やれ依存保存をする
- 大量に作り置きをしない(特に米飯や麺類)
ボツリヌス菌
【特徴】
酸素のない状態の食品が原因(自家製の瓶詰めや缶詰に多い)
【対策】
120℃で4分以上加熱する
せや!はちみつにボツリヌス菌が入っているから、一歳未満の子供に与えんといて!絶対あかんで!
ウェルシュ菌のように熱に強い菌は存在します。
『加熱したから大丈夫!』と過信せず、長時間の放置はしないでください。
家族で食べる時間が違う場合、鍋のままで保存したいけど…。特に夏場の保存には注意が必要ですね。安全のためにいったん冷まして、冷蔵庫に入れたほうがいい。洗い物が増えるけどね…。
また、こまめに加熱をしてよくかき混ぜ、全体に火が通るようにすることが大切です。
カレーの安全な保存方法
できるだけカレーを作った当日に食べてしまうのがベストです。
しかしカレーが余ってしまった場合、カレーを安全に保存することができるのでしょうか?
え、常温保存する場合は、夏場だけ気をつけたらいいんだよね?
違うよ。一年中常温保存はダメだよ。冬は、寒くて大丈夫だろうと思っても食中毒の危険があるからね。
そっそうなの!!
カレーの調理は
- 大量に作らない
- 作り置きをしない
- 調理後すぐに食べる
ことが基本ですが、大量に作ってしまった場合はどうするべきなのでしょうか?
やむを得ず作り置きする場合には、冷蔵庫または冷凍庫で保存します。
またカレーを保存する前に素早く冷ますことが肝心です。
冷水や氷水の入ったボールにカレー鍋を入れて、しっかりかきまぜて冷まします。
ジップロックなど袋で保存する場合は、しっかりと空気を抜いて平らにします。
密度を下げることで早く冷やすことができるからです。
密封することでカレーの酸化を防止することで、味の変化がしにくくなります。
すぐにカレーを食べない場合は、ジップロックなどが便利やね。
またカレーを保存するには容器も有効です。
プラチック製はカレーの匂いが容器に移るので、ラップを容器の底に敷いてカレーを包むようにして使用するといいでしょう。
それでも匂いが気になる方は、ガラス製や琺瑯(ほうろう)を使用してください。
カレーを保存方法は分かったけど、冷蔵や冷凍はどのくらいを目安に保存すればいいのでしょうか?
冷蔵も冷凍したカレーも、風味が落ちてしまうので、できるだけ早く食べてください。
できるだけ早く食べることは分かったけど、保存期間の基準を知りたい!
- 冷蔵の場合
- 冷凍の場合
とそれぞれ解説します。
冷蔵保存の場合
冷蔵保存の場合は、2~3日以内に食べるようにしましょう。
冷蔵保存をする場合の注意点は、鍋ごと冷蔵しないことです。
鍋に粗熱や温度のムラが残ることで菌が繁殖してしまいます。
洗い物が増えて面倒ですが、できるだけ早く冷まし、清潔な容器で保存しましょう。
冷凍保存の場合
冷凍保存の場合は、1カ月程度を目安に保存します。
冷蔵よりは長持ちしますが、その反面カレーの風味が落ちてしまうのがマイナスポイントです。
また冷凍庫の開閉頻度でも、消費期限が変わるため注意してください。
冷凍庫を頻繁に開けたりすると、冷凍庫内の温度も変化しちゃうからやね。
冷凍に最適なのはジップロックなどのフリーザーバッグに入れることです。
カレーが完全に冷めたら一食づつ小分けにし、しっかりと空気を抜き、劣化を防ぎましょう。
しかし、冷凍や冷蔵していてもカレーは痛んでしまうことがあります。
傷んだカレーの特徴はこちら。
- 表面の変色(白っぽい斑点)カビがはえている
- 異臭(酸っぱい・納豆の匂い)
- 糸をひく
保存期限内だからと安心しないで、見た目やにおいで確認してみることが大切です。
冷凍したカレーを美味しく食べるポイント
冷凍カレーを再度加熱して食べたけど、じゃがいもと人参の食感が悪いと感じたことはありませんか?
食感が悪くなる理由は、じゃがいもや人参など、でんぷんを多く含む野菜の水分が抜けてしまったからです。
じゃー、じゃがいもや人参はどうしたらいいのさ?
冷凍する前にできるだけ食べてしまう!
それならじゃがいもや人参を取り出して、コロッケなどリメイクもええかもな!食品ロスを防ぐことにもなるんや。
保存する前に、じゃがいも人参を容器の中ですりつぶしておくのもいいかもね。
冷凍したカレーを解凍する方法
冷凍したカレーを解凍する方法は次の3通りです。
- 冷蔵庫内で解凍
- 流水解凍
- 電子レンジで解凍
冷蔵庫内で解凍
食べる前日または半日前までに、冷蔵庫に移して自然解凍します。
常温で自然解凍はNGやで!
流水解凍
流水でカレーを半解凍状態にして鍋で加熱調理します。
5分~10分ぐらいで解凍できるので、あまり時間がかかりません。
電子レンジで解凍
今すぐカレーが食べたいという方には電子レンジ解凍をおすすめです。
電子レンジで加熱するとカレーに含まれてる水分が蒸発してしまうため、食感が変わってしまいます。
ジップロックなどで冷凍している場合は袋から出し、耐熱容器で移して加熱がいいでしょう。
なぜならカレーに油分が多いため、袋の耐熱温度以上になると破裂の危険性があるためです。
また解凍ムラがないように、途中でスプーンでよくかき混ぜましょう。
解凍後は、速やかに加熱して食べて、再冷凍はしないでください。
- ウェルシュ菌がカレーの食中毒を発生させる原因
- カレーは大量に作らない、作り置きをしない、調理後すぐに食べることが基本
- カレーの冷蔵保存の場合は、2~3日以内
- カレーの冷凍保存の場合は、1ヶ月程度
カレーは痛みやすい食品なので、作り過ぎたら夏場でなくても、常温保存はしないようにしましょう。
ウェルシュ菌って怖いわ~。
私、ウェルシュ菌の怖さ知っているよ。昔の話だけど。秋ごろで、カレーを鍋のまま常温保存をしていたんだよ。それも翌日の昼まで。温めて食べたんだけど、結構早く食中毒の症状がでたんだよ。
おいおい、正気かよ!昼ごはんで食べるならせめて冷蔵保存するやろ。
どうして常温保存したんだ?
カレーは腐らない…って思いこんでいたんだよ。
えっ!バ◯なの?
今となってはお恥ずかしい限り…
「カレーは腐らない」っという根拠のない思い込みによって、痛い目にあいました。
みなさまは適切なカレーの保存方法を実践していきましょう。
参考:厚生労働省HP/農林水産省HP
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