お子さんの離乳食後の食事に悩むことはありませんか?
スーパーにはいろいろな子供向けカレーがありますが、実は約40年前、幼児向けのカレーはありませんでした。
そんな中、登場したのがエスビー食品の「カレーの王子さま」です。
優しい甘さと食べやすさで、長年多くの親子に愛され続けています。
本ブログでは、「カレーの王子さま」がロングセラーとなった秘密を探り、その魅力を解説。
離乳食を卒業したお子様から幼児まで楽しめる「カレーの王子さま」の人気の理由にせまります。
カレーの王子さま誕生秘話 :親ごころから生まれた優しいカレー
お子さんが初めて口にするカレー、それはもしかしたら「カレーの王子さま」かもしれませんね。
カレーの王子さまは、多くのご家庭で愛され続けるロングセラー商品です。
さかのぼること約40年前、家庭用カレールーが普及し、甘口カレーも登場していました。

せやねん。家庭用のカレールーが昭和25年に出てきて、だんだんみんなの家でカレーが食べられるようになったんや。で、甘口のカレーができたんは昭和38年。それまでは、カレーってちょっと辛かったから、大人の食べもんやったんやで。
その一方で「子供に大人と同じカレーを食べさせて大丈夫だろうか?」と心配する親御さんの声がありました。
開発の背景 :味覚が未熟な子供たちのために
1950年代頃から、カレーライスは学校給食の人気メニューとなり、子供たちにとって身近な存在でした。
しかし、一般的なカレーは、子供たちの未熟な消化器官や味覚には負担が大きい場合があります。
甘口タイプでも、脂質や塩分が含まれているからです。
そんな中、エスビー食品はいち早く乳幼児期の食に着目。
王子さまシリーズの基本コンセプトは
引用元:S&B食品ホームページより(https://www.sbfoods.co.jp/oji/policy/index.html)
「1歳からおいしく」「安全・安心」「健康・栄養」「楽しさ」
そして1983年(昭和58年)、子供の成長に大切なカルシウムを配合した「カレーの王子さま」が誕生しました。
これは、まさに「子供ファースト」の想いから生まれた商品です。
発売後も、「カレーの王子さま」は時代のニーズに合わせて進化を続けます。
- 1985年(昭和60年)塩分を控えたレトルトカレーを発売
- 1988年(昭和63年)お弁当に最適な温め不要のレトルトカレーを発売
- 1990年(平成2年)「1歳」からのカレーを発売
より多くの子供たちが安心して食べられるように改良が重ねられました。
アレルギーへの配慮 :親御さんの不安に寄り添う
1990年代に入ると、「食物アレルギー」という言葉が社会的に認知され始めます。
まだアレルギー対応の商品が少ない中、エスビー食品はアレルギーに関する研究をいち早く開始。
1997年(平成9年)には、卵・牛乳・小麦粉・米を使用していない「カレーの王子さまレトルト」を発売しました。
2001年(平成13年)に日本でアレルギー物質を含む食品に関する表示制度が開始されます。
この制度が始まる前から、エスビー食品は専門家から話を聞き、アレルギーに関する知識を深めていました。
そして、「カレーの王子さま」のパッケージには、エスビー食品の心遣いが表れています。

それは、アレルギー表示を大きく、分かりやすいイラスト付きで前面に記載すること。
親御さんが一目で確認できるように工夫されているのです。

せやねえ、アレルギーのマークとか、裏とか端っこにちょこっと小さい字で書かれてたら、ほんま見えへんし、気づかへんことがあるやんなあ。
さらに、カレーの王子さまのルーを使ったアレンジレシピを公開するなど、子供たちがより美味しくカレーを楽しめる工夫もされています。
三代目の王子さま :親しみやすいデザインへの変化
現在の「カレーの王子さま」のパッケージに描かれているのは、三代目の王子様のイラストです。

初代の王子様(1989〜1996年)は、エスビー食品の社員がデザインしたオリジナルのキャラクターでした。
時代とともに、より親しみやすいデザインへと変化していることも、長く愛される理由の一つかもしれません。
カレーの王子さまカレールー : 時代とともに進化する優しい味わい
1983年(昭和58年)に誕生した「カレーの王子さま」は、時代とともに、そのカレーも変化し続けてきました。
発売当初から現在に至るまで、どのような道のりをたどってきたのでしょうか。
カレールーの変化 :親の声に応える
発売当初の「カレーの王子さま」のカレールーは、カルシウムが豊富な「クリームブイヨンルー」と「カレールー」が別々になっていました。
これは、お子さんの成長に必要な栄養を届けたいという、お母さんたちの願いに応えたものでした。
しかし、このような声も寄せられました。

クリームブイヨンとカレールーが別々になっているなんて知らなかった。先にカレールーだけを使っちゃった。

子供が一人なので全部のルーを使えません。カレールーとクリームブイヨンを一緒にしてください。
こうした消費者の声を受け、「カレーの王子さま」のカレールーは改良され、現在ではクリームブイヨンルーとカレールーが一体化しました。
さらに、少量でも使いやすいように、3皿分ずつに分けられています。
カレールーの改良の歩みは以下の通りです。
- 1992年(平成4年):植物油100%へ
- 1999年(平成11年):カルシウムとミルクオリゴ糖を配合
- 2004年(平成14年):化学調味料無添加へ
- 2007年(平成19年):パッケージを青から赤へ変更
- 2017年(平成29年):ルウに含まれる緑黄色野菜を国産へ
また、幼児向けの「カレーの王子さま」だけでなく、1986年には少し辛さを加えた「カレーの王子さま 小学生からの中辛」も発売されます。
成長に合わせて楽しめるラインアップとなりました。
また「カレーの王子さま」シリーズは、カレーだけでなく、
- 1983年:森のシチュー屋さん
- 1984年:ハヤシランドの王女さま
といった、子供たちが親しみやすい名前のメニューも展開していました。
日本初の顆粒タイプ :アレルギーに悩むご家庭へ
1999年(平成11年)、「カレーの王子さま」は日本初の顆粒タイプのカレールーを発売しました。

この頃から、食物アレルギーという言葉が広く知られるようになります。
お子さんを持つ家庭からは「家族みんなで一緒にカレーを食べたい」という声が寄せられていました。
しかし、一般的なカレールーには乳や小麦が含まれています。
アレルギーを持つお子さんはカレーを一緒に楽しむことが難しかったのです。

せやね。卵と牛乳と大豆と小麦と米は、五大アレルゲンっちゅうて、特に小さい子どもの食物アレルギーで一番多いんやて。ほんま、気ぃつけなあかんね。
エスビー食品の開発者は、アレルギーの原因となる乳や小麦を使わず、安全で安心なカレーを作りたいという強い想いから、顆粒タイプの開発に取り組みました。

1997年(平成9年)からテスト販売を行い、高い評価を得た後、1999年(平成11年)に全国発売に至りました。
これは、21世紀の新しいカレーとして、多くの子供たちに受け入れられました。
当時の顆粒タイプも、卵・牛乳・大豆・小麦・米といった、小児期に多い食物アレルギーの原因となる「五大アレルゲン」とされる原材料を使用していません。
またスパイスの香りはそのままに、牛由来の原材料は使わず、植物油脂を使用しています。
その後も、「カレーの王子さま」シリーズは顆粒タイプでメニューを広げ、
- 2001年(平成13年):1歳からのシチューの王子さま
- 2002年(平成14年):1歳からのハヤシの王子さま 顆粒タイプ
- 2004年(平成16年):1歳からのスープの王子さま コーンポタージュ
などが登場しました。
顆粒タイプは、液体や素材に馴染みやすく、調味料としても活用できます。
日本初の幼児用レトルトカレー発売 :忙しいママの味方
カラーテレビの普及とともにCMが大きな影響力を持つようになり、レトルトカレーは手軽に食事ができる便利な食品として人気を集めていました。
また、男女雇用機会均等法が制定され、女性の社会進出が始まった頃です。
子供向けのレトルトカレーのニーズが高まっていました。
そのような背景の中、1985年(昭和60年)にエスビー食品から日本初の幼児用レトルトカレーが発売されました。
子供たちが好きなハンバーグとツナに着目し、2種類のレトルトカレーを販売。
しかし、発売後にはこんな声も聞かれました。

カレーの量が多くて1回で食べきれない。

子ども用の皿からカレーがあふれるよ。
そこで、子供が無理なく食べきれるように内容量を70gにした「カレーの王子さま ランチ」と「カレーのお姫さま ランチ」が新たに発売されました。
ランチシリーズは温めなくても美味しく食べられるため、お弁当にも最適でした。
ランチシリーズもまた、時代の変化に合わせて改良を重ねてきました。
- 1988年(昭和63年):少量&ランチパック用
- 1990年(平成2年):ランチ用「ハヤシ・ハッシュドビーフ」が登場
- 1992年(平成4年):紙のパッケージリニューアル、動物たちが登場
- 1994年(平成6年):ランチタイプが2個入りになり、ミネラルを配合
- 1997年(平成9年):有機栽培野菜を使用し、食物アレルギーへの対応を開始
- 1999年(平成11年):15種類の野菜&フルーツを使用
- 2004年(平成16年):化学調味料無添加にし、素材本来の味わいを重視
- 2007年(平成19年):使用する野菜やフルーツ、味をリニューアル
- 2017年(平成29年):アレルギー特定原材料等27品目不使用のカレーへ
レトルトカレー以外にも、
- 1985年(昭和60年):森のシチュー屋さん
- 1986年(昭和61年):カレーの王子様 フルーツカレー(離乳食が終わる1歳をターゲット)
- 1987年(昭和62年):王子さまのデザートパイン味、お姫さまのデザートピーチ味
(牛乳を入れて完成) - 1987年(昭和62年):メルヘンスパゲティソース ミートボールソース(パスタ用ソース)
など、様々な商品が開発され、子供たちの食卓を豊かに彩ってきました。
41年ぶり、カレーの王子さまを実食!
「カレーの王子さま」が誕生した1983年頃、筆者は小学2年生。
すでに他社の甘口カレーを食べていました。

新もん見たら、ついつい手ぇ伸びてまうねんな。「カレーの王子さま」って名前も、なんかこう、そそられるやん?ちょっとおもろいし、どんな味かめっちゃ気になるわ~!
初めて「カレーの王子さま」を口にした時、辛味のなさに少し物足りなさを感じた記憶があります。
もしかしたら、母親が作り方を間違えてしまったのかもしれません。
しかし、このブログを書いているうちに、改めて「カレーの王子さま」を味わってみたいという気持ちが湧き上がってきました。
あれから41年。一体どんな味わいに変化しているのでしょうか?実際に食べてみました。

大人が幼児用のカレー食べるんか。よおやったな!
大人も満足!優しいけれど奥深い味わい
少し多めに盛ってしまったご飯とともに、久しぶりに「カレーの王子さま」をいただきます。

レトルトパウチを開けた瞬間、ふわりと広がる本格的なカレーの香り。
朝食にいただいたのですが、この香りで食欲がしっかりと刺激されました。
一口食べると、確かに辛味は全くありません。
しかし、ただ甘いだけでなく、野菜やブイヨンのうまみがじんわりと広がります。
以前感じた物足りなさはなく、むしろその優しい味わいにホッとしました。
胃にも優しく、大人でも十分に満足できる奥深さがあります。
温めなくても食べられるとのことなので、お弁当にも良さそうですね。
「子供用だから薄味だろう」という先入観は、良い意味で裏切られました。
子供への愛情と企業の努力
改めて「カレーの王子さま」を味わってみて、子供の体に優しく配慮した商品なのだということを強く感じました。
長年にわたり、味や成分、アレルギー対応などに改良を重ねてきた企業の努力が、この優しい味わいに凝縮されているのだと思います。
41年ぶりに味わった「カレーの王子さま」は、子供の頃の記憶とは異なりました。

せやな、41年前ってだいぶ昔やもんな!でも、味の記憶って、ちゃんとあるもんやねんな。なんかこう、ふとした時に「あ、この味、昔食べたことある!」って思い出したりするやん?
大人になった今でも美味しく、そして安心して食べられるカレーでした。
ロングセラーとして愛され続ける理由が、改めて理解できた気がします。
【まとめ】:「おいしい」と「安心」を届け続ける、カレーの王子さま
「カレーの王子さま」は、多くの子どもたちの「はじめてのカレー」を優しく彩ってきた、まさにカレー界のロングセラーです。
その長きにわたる人気の秘密は、エスビー食品の「食の安心安全」に対する揺るぎないこだわりにありました。
お子様の健やかな成長を願う親御さんの思いに寄り添ったエスビー食品。
カレーの味だけでなく、成分やアレルギーへの配慮を重ねてきたからこそ、世代を超えて愛され続けているのでしょう。
「カレーの王子さま」は、単なる食品ではありません。
家族の笑顔と食卓の温かさを育む、大切な存在です。
これからも、多くの子供たちの成長を見守り続けることでしょう。
- カレーの王子さまは、1983年(昭和58年)に誕生
- エスビー食品はアレルギーにいち早く取り組む
- 日本初顆粒状のカレーを開発
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