北海道グルメといえば、海の幸、山の幸、そして独特のソウルフードが思い浮かびますよね。
近年、その仲間入りを果たしたのが、スパイスの香りが食欲をそそるスープカレーです。
実はスープカレーは、札幌生まれなんです!
地元民に愛され、今や全国に広がるスープカレー。
一体どんな経緯で誕生し、私たちの食卓に届くようになったのでしょうか?
その意外な歴史と奥深い魅力にせまります。
驚き!札幌スープカレー誕生秘話:一杯の薬膳スープから始まった物語
札幌市民のソウルフード、そして今や全国区の人気を誇るスープカレー。
そのルーツは、意外にも札幌の一軒の喫茶店にありました。

「アジャンタ」薬膳カリィ:運命を変えた一杯
スープカレーの始まりとされるのは、喫茶店「アジャンタ」で提供されていた「薬膳カリィ」です。
1971年(昭和46年)に喫茶店として開業します。

へぇ、お店の名前のアジャンタは、南インドにある仏教の洞窟の名前から来てるんやて。
創業者・辰尻宗男氏のインド放浪と衝撃の出会い
アジャンタの創業者、辰尻宗男さんは、なんと数十回もインドへ旅をしていました。
しかし、意外なことに、当時のインドカレーに特に魅力を感じていなかったそうです。
「インドカレーは体に良い」その言葉が転機に
そんな辰尻さんの心を捉えたのは、ニューデリー在住のシェフの「インドカレーは体にいい」という言葉でした。
折しも、インドの富裕層に病が多いことを知った辰尻さんは、「スパイスと漢方を組み合わせる」という革新的なアイデアを思いつきます。
漢方薬の勉強と試行錯誤の日々
漢方の知識が全くなかった辰尻さんは、地元札幌の漢方薬店で基礎を学び、試行錯誤を重ねて薬膳カリィの原型を完成させます。

インドと東洋が出会うて生まれたスープやて。
それは、具材のないシンプルな薬膳スープで、最初はご自身とご家族のためだけに作られていました。
常連客との偶然の出会いがメニュー化への扉を開く
ある日、辰尻さんがその薬膳スープを飲んでいると、常連客が「何を食べているの?」と興味を持ちます。
薬膳スープを試食用として出したことがきっかけで、限られた常連客に提供されるようになりました。
ダシガラの再利用から生まれたチキンレッグ
薬膳カリィを作る際、野菜と鶏肉でダシを取っていましたが、そのダシガラは捨てられていました。
そんな中、「捨てるなら一緒に食べたい」という常連客の一言から、チキンレッグを入れてみたところ、これが大好評!
実は、チキンレッグを丸ごと入れるスタイルは、アジャンタが最初なのです。
常連客の要望が育んだ、現在の薬膳カリィ
こうして、常連客の要望が形となり、1975年(昭和50年)の提供開始から現在の薬膳カリィへと進化しました。

1975年(昭和50年)には、薬膳カリィ本舗アジャンタとして生まれ変わったんや。
その後、空前のスープカレーブームが到来しました。
しかし辰尻さんは「薬効のあるものを食べて自然治癒力を高め、食べた人が健康で幸せな人生を送れるように」という強い信念を持ち続けていました。
その思いは「思い入れ99%、商売1%」という言葉に表れています。

辰尻さんは、ブームに踊らされへんかったんやなぁ。
アジャンタのこだわり:健康への深い思い
アジャンタでは、創業以来、以下のこだわりを守り続けています。
- その日に使い切る、翌日に持ち越さない
- 冷凍保存や化学調味料を一切使わない
- スパイスはホールから挽き、漢方薬はホールで中国から直輸入
- 30種類のスパイスと15種類の漢方薬を使用
- 手間暇を惜しまず、一日50食のみ提供
これらのこだわりは、お店に来てくれる一人ひとりの健康を大切にする、アジャンタの深い思いの表れなのです。
【お店の情報】
店名:薬膳カリィ本舗アジャンタ総本家
住所:札幌市東区北23条東20丁目2-18
営業時間:①11:00~スープ品切れまで②17:00~スープ品切れまで
※15:00~17:00は休憩時間
定休日:年末年始(12/31・1/1・1/2)
アクセス:地下鉄東豊線 元町駅より徒歩5分
お店のホームページ:https://www.ajanta.jp/
※お店の情報は2024年2月時点です。
これが札幌発!奥深いスープカレーの世界:その魅力と味わい方を徹底解説
北海道を代表するグルメ、スープカレー。
名前は聞いたことがあっても、「普通のカレーと何が違うの?」と思っている方もいるかもしれません。
ここでは、スープカレーならではの特徴を解説します。
知っておきたい!スープカレー4つの特徴
スープカレーには、一般的なカレーとは異なる、明確な4つの特徴があります。
- サラサラのスープ
- こだわりのベーススープ
- 主役級の多彩な具材
- 自分好みにできる辛さ
一つずつ、その奥深さをひも解いていきましょう。
1. スープはサラサラ!ルーを使わないスパイスの魔法
スープカレーのスープは、小麦粉などでとろみをつけず、スパイスを巧みにブレンドして作られています。
このサラサラとした口当たりが、通常のカレーとの大きな違いです。
2. 味の決め手!奥深いベーススープ
スープカレーの美味しさを支えるのが、丁寧にだしをとったベーススープです。
大きく4つに分かれており、お店の個性やこだわりが光ります。
- スパイス&薬膳系: スパイシーさと奥深さが魅力
- ブイヨン・コンソメ・トマト系: 洋風のコクと酸味が食欲をそそる
- 和風だし系: かつお節や昆布の優しいうま味が特徴
- 海老だし系: 香ばしい海老の風味がたまらない

ダシ取るとこは、ラーメン作るのと通じるもんがあんねんな。
3. 具材の良さそのまま!彩り豊かで食べ応え満点
一般的なカレーが具材と一緒に煮込まれるのに対し、スープカレーの具材は別々に調理されることが多く、その食感や味わいをダイレクトに楽しめます。
特に、素揚げされた野菜は、それぞれの旨味が凝縮され、スープとの相性も抜群です。

素揚げ野菜のトッピングは、「木多郎(きたろう)」っていうお店が始めたらしいで!やっぱり北海道の美味しいもんがいっぱいあるからこそのカレーなんやなぁ。
4. 辛さも自由自在!辛いのが苦手な人も楽しめる
スープカレーの魅力の一つが、辛さを細かく調節できることです。
多くのお店で辛さレベルが表示されており、辛味が苦手な方から激辛好きまで、誰もが自分の好みに合った一杯を見つけられます。
お子様向けの辛さゼロのメニューがあるお店もあり、ファミリーでも楽しめるのが魅力。
辛さに迷ったら、遠慮せずお店の方に相談してみてください。
スープとご飯は別々!スープカレーの注文方法と美味しい食べ方
初めてスープカレーを食べる方は、「どうやって注文したらいいの?」「どんな風に食べるのが正解?」と戸惑うかもしれません。
ここでは、基本的な注文方法とおすすめの食べ方をご紹介します。

スープカレーの注文方法:あなただけのオリジナルを見つけよう
スープカレーは、自分の好みに合わせてカスタマイズできるのが人気の秘密。
注文時には、主に以下の5つの要素を選びます。
- メインの具材: チキン、角煮、シーフード、野菜など
- スープの種類: チキン、エビ、トマト、ココナッツなど(お店によってベースが決まっている場合も)
- 辛さ: 1~5段階、1~10段階など(お店によって基準が異なります)
- トッピング: 好みの具材を追加
- ご飯: 白米、ターメリックライス、サフランライス、雑穀米など、量も選べるお店も
スープカレーの食べ方:基本は自由!でも試してほしい3つのスタイル
スープとご飯が別々に出てくるスープカレー。
「どうやって食べるのが正解?」と悩む方もいるかもしれませんが、実は決まった食べ方はありません。
ここでは、一般的な3つのスタイルをご紹介します。
- ご飯をスプーンですくい、スープに浸して食べる: 最も一般的な食べ方です。
- 一さじごとにスープをライスにかけて食べる
- ライスとスープを交互に食べる:

ほんまかいな!ご飯全部スープに入れて、リゾットみたいにして楽しむ人もおるんやて!
具材の食べ方も自由です。
そのまま味わったり、ご飯と一緒に頬張ったり、スープに浸したり。
ベーススープと具材の組み合わせや、食べる順番によっても風味が変わるので、色々試して自分だけの最高の食べ方を見つけてください。
自分好みにカスタマイズでき、食べ方も自由なスープカレー。
その奥深い魅力に、きっとあなたもハマるはずです。
スープカレー、全国区へ!爆発的人気の火付け役たち
1990年代後半から2000年代にかけて、札幌で巻き起こったスープカレーブーム。
メディアの注目や若者たちの口コミによって、その人気は瞬く間に広まりました。
さらに、全国への普及を後押しした3つの大きな要因があったのです。
- マジックスパイス:その名は「スープカレー」!
- 横濱カレーミュージアム:全国のカレーファンを魅了
- 大泉洋さんの発信力:北海道愛がスープカレーを全国へ
一つずつ、詳しく見ていきましょう。
マジックスパイス:その名は「スープカレー」!
1993年(平成5年)、マジックスパイスは、まだ一般的ではなかった料理に「スープカレー」という名前をつけた、まさにパイオニア的存在です。

それまで知られていなかったこの斬新なカレーは、瞬く間に札幌で話題となり、スープカレーという名前が広まるきっかけを作りました。
マジックスパイスの創業者、下村泰山氏は、インドネシアの国民的スープ「ソトアヤム」(Soto = スープ、Ayam = 鶏)との出会いからインスピレーションを受けます。
ソトアヤムは、スパイスとウコンが香る、野菜たっぷりの優しい味わいのスープ。
ご飯にかけて少しずつ食べるのが一般的です。
独自のアイデアと日本人の味覚に合うアレンジを加えて、この新しいカレーを生み出しました。

マジックスパイスの辛さ表現がまた個性的やねん!7段階あって…
覚醒(中辛)→瞑想→悶絶→涅槃→極楽→虚空(激辛)
「虚空」の辛さって、どんな感じなんやろなぁ?
【お店の情報】
店名:マジックスパイス 札幌本店
住所:札幌市白石区本郷通8丁目6-2
営業時間:11:00〜15:00、17:30〜22:00
定休日:水曜・木曜日
アクセス:地下鉄東西線南郷7丁目駅より徒歩5分
お店のホームページ:https://www.magicspice.net/
※お店の情報は2024年2月時点です。
横濱カレーミュージアム:全国のカレーファンを魅了
神奈川県横浜市のフードテーマパーク「横濱カレーミュージアム」。
2001年(平成13年)1月にオープンし、2007年(平成19年)3月に惜しまれつつ閉館しました。
全国からカレーファンが集まるこの場所で、
- スパイスカレーの名付け親「マジックスパイス」
- トマトベースのスープで有名になった「木多郎」
が出店し、スープカレーの魅力を全国に発信する大きなきっかけとなりました。
大泉洋さんの発信力:北海道愛がスープカレーを全国へ
北海道が生んだ人気俳優、大泉洋さんの存在も、スープカレーが全国に広まる上で大きな役割を果たしました。
大泉さんはテレビや映画、バラエティ番組での活躍はもちろん、北海道発の演劇ユニット「TEAM NACS」の一員としても知られています。
大泉さんが全国放送でスープカレーの魅力を熱く語ったことが、多くの人々の興味を引きつけました。
さらに、ベル食品とのコラボレーションによって生まれたスープカレーの素「大泉洋の本日のスープカレーのスープ」も発売されています。


ベル食品のオンラインショップやスーパーで好評発売中やで!
その他にも、大泉さんのスープカレー愛はとどまることを知らず…
- 2006年(平成18年)には、スープカレーへの思いをつづったフォトエッセイ「本日のスープカレー」を出版
- 2012年(平成24年)には、北海道放送創立60周年記念ドラマ「スープカレー」にTEAM NACS全員で出演

ほんま、大泉さんのスープカレー愛は筋金入りやなぁ!
こうして、マジックスパイスのネーミング、横濱カレーミュージアムでの発信、そして大泉洋さんの強力なプッシュという3つの大きな波に乗り、スープカレーは札幌から全国へと広がりを見せました。
現在では、全国各地で本格的なスープカレー専門店が続々とオープンしています。
【まとめ】スープカレーは無限の可能性!あなただけの味を見つけよう
今回は、札幌発祥のソウルフード、スープカレーの魅力と歴史を深掘りしてきました。
スープ、具材、辛さ、そしてご飯の種類まで、自分の好みに合わせて細かくカスタマイズできるのがスープカレーの醍醐味。
さまざまな組み合わせを試すことで、毎回違う味わいに出会えるのもスープカレーの面白さです。
食べるたびに新しい発見があるスープカレー。
ぜひあなたも、自分だけの最高の組み合わせを見つけて、奥深いスープカレーの世界を探求してみてください。
- スープカレーの原型は、「アジェンタ」の薬膳カリィ
- マジックスパイスは、「スープカレー」と命名
- スープカレーには決まった食べ方はない
参考:
薬膳カリィ本舗アジャンタ総本舗HP(http://www.ajanta.jp/)
NHK(https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-n8994ed07a8a3)
ベル食品(https://www.bellfoods.co.jp/)
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